塗り足し・仕上がり線・安全圏とは?紙もの印刷で白フチや文字切れを防ぐ考え方

塗り足し・仕上がり線・安全圏とは?紙もの印刷で白フチや文字切れを防ぐ考え方

ポストカードやカード、名刺などを作るときに出てくる「塗り足し」「仕上がり線」「安全圏」。 最初は少し分かりにくい言葉ですが、考え方はシンプルです。 この記事では、白フチや文字切れを防ぐための基本を、図解つきで整理します。

ポストカードやショップカードなどの紙ものを並べた、塗り足し解説記事のファーストビュー画像

この記事でわかること

01

3つの線の見方

塗り足し線・仕上がり線・安全圏が、それぞれ何を示しているのかを整理します。

02

白フチ・文字切れの原因

塗り足しが足りないと白フチが出る理由や、大事な要素を端に寄せすぎたときのリスクを説明します。

03

背景を伸ばす方法

実際に入稿データ上で塗り足しをどうやって作るか説明します。

塗り足しとは?仕上がり線の外まで背景を伸ばすこと

紙もの印刷の入稿テンプレートを開くと、「塗り足しを作ってください」「仕上がり線の外側まで背景を伸ばしてください」と書かれていることがあります。

この塗り足しは、端まで色や絵柄をきれいに出したい紙ものでは大事な部分です。

塗り足しとは…
仕上がり線の外側まで、背景色や絵柄を少し余分に伸ばしておく部分のこと。
裁断位置が少しズレても、紙の端に白フチが出にくくするために作ります。

完成した印刷物にそのまま残すための場所ではなく、きれいに裁断するための“余裕”のようなものです。

実際によくある入稿テンプレートの例を見てみましょう。

塗り足し・仕上がり線・安全圏を色分けして示した入稿テンプレートの図

この図では、いちばん外側にある枠が塗り足し、その内側にある枠が仕上がり線、さらに内側にある枠が安全圏を表しています。

仕上がり線とは…
完成サイズの目安になる線のこと。

安全圏とは…
文字や顔、ロゴなど、切れたら困る要素を内側に収めておきたい範囲のこと。

仕上がり線があると、「この線ぴったりに切られるのでは?」と思うかもしれません。

ただ、印刷物はデータ上の線に合わせて、いつも完全にぴったり裁断されるとは限りません。
実際の裁断位置は、ほんの少し前後することがあります

そのため、背景色やイラストを仕上がり線ぴったりで止めていると、裁断位置が少しズレたときに、端に紙の白い部分が出てしまうことがあります。

また、塗り足しの幅は3mm前後で指定されることが多いです。

これは、3mmぴったりズレるという意味ではなく、裁断位置が少し前後しても白フチが出にくいように、あらかじめ外側まで背景を作っておくための目安です。

白フチとは…
印刷したい色や絵柄が紙の端まで届かず、白い紙の部分が細く見えてしまう状態のこと。
背景色やイラストを仕上がり線ぴったりで止めていると、裁断位置が少しズレたときに起きることがあります。

ただし、必要な幅は印刷会社や商品によって変わる場合があります。実際に入稿するときは、利用する印刷会社のテンプレートや入稿ガイドを確認してください。


ここまでいくつか用語が出てきましたが、最初から全部を細かく覚えなくても大丈夫です。

・仕上がり線の外側まで背景を少し伸ばしておくのが塗り足し
・塗り足しをしておかないと白フチが出る可能性がある

くらいの認識で十分です。

塗り足しがないとどうなる?

先ほど軽く説明しましたが、塗り足しが足りないと、
裁断位置が少しズレたときに「白フチ」が出る場合があります。

実際のイメージで見ると、このような状態です。

塗り足し不足によりポストカードの端に白フチが出ている例
ポストカードに白フチが出た場合のイメージ

画像の右や上部を見ると、絵柄の端に白いフチのような部分が出ています。

このように、背景色やイラストが端まで届いていないと、裁断位置が少しズレただけでも、紙の白い部分が見えてしまうことがあります。

塗り足しがない場合に裁断ズレで白フチが出る流れを説明した図①
塗り足しがない場合に裁断ズレで白フチが出る流れを説明した図②

白フチは、背景が白いデザインなら目立ちにくいこともあります。

でも、色付きの背景や全面イラスト、ポストカード、名刺、ショップカード、カード裏面のように、端まで色や絵柄を入れたい紙ものでは、少しの白フチでも気になりやすくなります。

実際に印刷物を見ていても、カードの裏面は特に白フチが目立ちやすいです。

塗り足し不足によりカード裏面の端に白フチが出ている例
カードの裏面に白フチが出たイメージ

裁断はできるだけ正確に行われますが、
紙を切る作業である以上、わずかな位置差が出ることがあります。

カードの裏面は、複数枚を並べたときに同じ見た目でそろっていることが大事です。

トランプやタロットのように、裏面の見た目をそろえたい紙ものでは、ほんの少しの白フチでも違和感につながりやすいです。

また、白フチとは別に、文字や顔、ロゴなどを端に寄せすぎると、裁断時に切れてしまうこともあります。

白フチは「背景が足りない」ときに起きやすい失敗です。
文字切れや顔切れは「大事な要素が端に近すぎる」ときに起きやすい失敗です。

塗り足しは「完成サイズの外側まで背景を作っておくための余裕」と考えておきましょう。

では、実際にどこをどう伸ばせばいいのでしょうか。
まずは、単色背景の場合から見ていきます。

塗り足しの作り方(単色)|背景は塗り足し線まで伸ばす

実際にどうやって塗り足しをしていくのか見てみましょう。

塗り足しを作るときは、まず入稿テンプレート上で「塗り足し線」「仕上がり線」「安全圏」の位置を確認します。

ここでは、カードの裏面デザインを例に見ていきます。

カード入稿テンプレート上の塗り足し線・仕上がり線・安全圏を示した図
①テンプレートを用意する

まずは、テンプレートの中でどこが仕上がり線で、どこが塗り足し線なのかを確認します。

背景や絵柄を入れるときは、いきなり感覚で配置するのではなく、仕上がりサイズの位置を見ながら置いていくと分かりやすいです。

カード背景が仕上がり線付近で止まっていて塗り足しが足りない例
②仕上がり線の中に見せたい範囲を合わせる

次に、デザインを仕上がり線に合わせて配置します。

この段階では、完成後に見せたい範囲が仕上がり線の中に収まっているかを確認します。

ただし、ここで作業を止めると、背景が仕上がり線付近で止まった状態になります。
見た目としては一度整っているように見えても、このままだと塗り足しが足りません。

塗り足しを作るには、ここからさらに背景色や絵柄を外側へ伸ばします。

カード背景を塗り足し線まで伸ばした入稿データの例
③塗り足し線まで、背景の色を広げる

最後に、背景色や絵柄を仕上がり線の外側にある塗り足し線まで広げます。

このように、背景が外側の塗り足し線まで届いていれば、裁断位置が少し前後しても白フチが出にくくなります。

単色背景の場合は、背景の色をそのまま塗り足し線まで広げれば大丈夫です。

たとえば、カード裏面を濃い紺色や黒にしたい場合は、仕上がりサイズの内側だけでなく、塗り足し線まで同じ色を広げておきます。

白や黒の背景でも、考え方は同じです。


作業としては難しく考えすぎなくて大丈夫です。

まずは、背景や絵柄を「仕上がり線まで」ではなく「塗り足し線まで」広げる。
この意識でデータを作ると、白フチのリスクを減らしやすくなります。

次に、模様やイラスト背景がある場合の塗り足しについて見ていきます。

塗り足しの作り方(模様やイラスト背景)|拡大するか外側を描き足す

単色背景の場合は、背景色をそのまま塗り足し線まで広げれば対応できます。

一方で、模様やイラスト背景がある場合は、少し考え方が変わります。

こちらはポストカードを例に見ていきましょう。

仕上がり線の中にイラストの見せたい範囲を配置した例
仕上がり線の中に、見せたい範囲を配置する

まずは単色の場合と同様に、仕上がり線の中に、完成後に見せたい範囲を配置します。

ただ、足りない外側を単色で埋めるだけだと、絵柄が急に途切れたように見えて、違和感が出ることがあります。
そのため、模様やイラスト背景の塗り足しを作るには少し工夫が必要になります。

1つ目の方法は、画像全体を少し拡大する方法です。

方法1:画像全体を拡大して、塗り足し線まで届かせる

画像全体を少し大きくすると、外側の塗り足し線まで絵柄を届かせることができます。

背景全体に模様が入っている場合や、端が少し切れても問題ないイラストなら、この方法で対応しやすいです。

ただし、画像全体を拡大すると、中央の絵柄も一緒に大きくなります。

顔、文字、ロゴ、キャラクターの手足など、切れたら困る要素が端に近い場合は注意が必要です。

拡大したあとは、見せたい範囲が仕上がり線の中に収まっているか、大事な要素が安全圏の内側に入っているかを確認しましょう。

2つ目の方法は、外側の背景だけを描き足す方法です。

構図を保ったまま外側の背景を描き足して塗り足しを作った例
方法2:構図を保ったまま、外側の背景を描き足す

この方法では、仕上がり線の中に見せたい絵柄は残したまま、足りない外側だけを塗り足し線まで作ります。

背景色をなじませる、模様を少し続ける、空やグラデーションを外側に広げるなど、デザインに合わせて自然につながるように描き足します。

キャラクターやメインの絵柄を大きくしたくない場合は、画像全体を拡大するよりも、外側だけを描き足す方が向いています。

ただし、描き足す手間はどうしても出てしまいます。


どちらの方法を使う場合でも、大事なのは単色の場合と同様に、
「仕上がり線の外側まで背景や絵柄がある状態」にすることです。

画像全体を拡大する方法:手軽だが、見せたい範囲も少し変わる。
外側を描き足す方法:少し手間だが、構図を保ちやすい。

このように、絵柄のどこを見せたいかによって、塗り足しの作り方を選ぶと考えやすくなります。

また、文字や顔、ロゴなどの大事な要素は、塗り足し部分ではなく安全圏の内側に入れておきます。

塗り足しは、完成後に見える部分を増やすためのものではありません。
裁断位置が少しズレても白フチが出にくいように、仕上がり線の外側まで背景や絵柄を用意しておくためのものだということを覚えておきましょう。

まとめ|背景は外側へ、大事な要素は内側へ

塗り足しは、裁断位置が少しズレても白フチが出にくいように、仕上がり線の外側まで背景色や絵柄を作っておく部分です。

単色背景の場合は、背景色を塗り足し線まで広げます。

模様やイラスト背景の場合は、画像全体を少し拡大するか、外側の背景を描き足して、塗り足し線まで絵柄が続くように作ります。

反対に、文字や顔、ロゴなどの切れたら困る要素は、安全圏の内側に入れておきます。

背景や絵柄は外側の塗り足し線まで。
文字や大事な要素は内側の安全圏まで。

まずはこの2つを意識しておくと、白フチや文字切れのリスクを減らしやすくなります。

実際に入稿データを作るときは、利用する印刷会社のテンプレートや入稿ガイドで、必要な塗り足し幅を確認しておきましょう。

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